売上・経費の計上時期【2026年版】
発生主義と年をまたぐ取引の仕訳
「12月に納品したけど入金は1月……これは今年の売上?来年の売上?」——年末になると必ず迷うのが計上時期です。このページでは、売上と経費を「いつの年分に入れるか」の原則(発生主義)と、年をまたぐ取引の仕訳を4パターンの早見表で整理します。前受金・前払費用・未払金の使い分けがこの記事で分かります。
先に結論
基準は「お金が動いた日」ではなく「取引が確定した日」
青色申告は発生主義が原則です。売上は商品を渡した・サービスを提供し終えた日、経費はその支払義務が確定した日で計上します。請求日や入出金日ではありません。だから「12月に働いて1月入金」は12月(前年)の売上になります。
発生主義と現金主義の違い
| 発生主義(原則) | 現金主義(特例) | |
|---|---|---|
| 計上のタイミング | 取引が確定した日(引渡し・役務提供の完了) | お金が入った日・出た日 |
| 使える人 | すべての事業者 | 前々年の所得300万円以下+届出をした小規模事業者 |
| 65万円控除 | 受けられる | 受けられない(10万円まで) |
65万円の青色申告特別控除を受けるなら発生主義が前提です。以下はすべて発生主義での処理を前提に解説します。
年をまたぐ取引の計上早見表(4パターン)
年末年始に迷いやすい4パターンです。「その年に稼いだ/使ったか」で判断し、お金のズレは前受金・前払費用・売掛金・未払金で調整します。
| 状況 | どの年に計上? | 使う科目 |
|---|---|---|
| 12月に納品・請求、入金は翌1月 | 12月(当年)の売上 | 売掛金 |
| 12月に前払いで受け取った来年提供分 | 翌年の売上 | 前受金 |
| 12月に来年分の家賃等をまとめて前払い | 翌年の経費 | 前払費用 |
| 12月に使ったが請求・支払は翌年 | 12月(当年)の経費 | 未払金(未払費用) |
パターン別の仕訳例
① 12月納品・請求、翌1月入金(売掛金)
稼いだのは12月なので、12月の売上。入金は翌年に消し込むだけ。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 12/28 | 売掛金 | 売上高 | 100,000 |
| 翌1/31 | 普通預金 | 売掛金 | 100,000 |
② 12月に前払いで受け取った来年提供分(前受金)
まだ提供していないので今年の売上にしない。提供時に売上へ振り替える。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 12/20 | 普通預金 | 前受金 | 120,000 |
| 翌年 提供時 | 前受金 | 売上高 | 120,000 |
③ 12月に来年分の家賃を前払い(前払費用)
来年使う分は今年の経費にしない。翌年に経費へ振り替える。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 12/25 | 前払費用 | 普通預金 | 120,000 |
| 翌年 経過分 | 地代家賃 | 前払費用 | 120,000 |
※ 短期前払費用の特例:支払日から1年以内に提供を受ける役務(家賃・保険料の年払いなど)は、毎年継続して適用することを条件に、支払った年に全額を経費にできます。この場合は前払費用を使わず「地代家賃/普通預金」で計上します。
④ 12月に使ったが支払は翌年(未払金)
12月利用分の電気代・カード払いの経費など。使った12月の経費にする。
| 日付 | 借方 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 12/31 | 水道光熱費 | 未払金 | 8,000 |
| 翌年 支払時 | 未払金 | 普通預金 | 8,000 |
売上・経費の「計上日」の考え方
売上(収入)を計上する日
- 物品の販売:商品を引き渡した日
- サービス(役務):提供が完了した日
- 請負:完成して引き渡した日
請求日・入金日ではなく「渡し終えた日」で判断します。
経費を計上する日(債務確定基準)
- その年に支払義務が成立している
- 義務を生じる原因となる事実が発生している
- 金額を合理的に算定できる
3つを満たせば、支払が翌年でもその年の経費になります。
現金主義の特例(小規模事業者)
前々年分の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下の小規模事業者は、事前に「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出すれば、入出金ベース(現金主義)で記帳できます。売掛金・未払金などを管理しなくてよくなる反面、青色申告特別控除は10万円までとなり、65万円控除は受けられません。控除額を優先するなら発生主義を選びましょう。
年またぎの仕訳もそのまま——ひとり青色
取引日を入力すれば、その日付の会計年度に自動で振り分け。売掛金・前受金・未払金といった年またぎの調整仕訳(複合仕訳)にも対応し、発生主義での青色申告決算書まで自動作成します。買い切り¥4,980・月額なし。まずは登録不要のブラウザ版で試せます。
よくある質問
12月に納品・請求し、入金が翌1月の売上はどちらの年の売上ですか?
納品(役務の提供)が完了した12月の売上として、前年分に計上します。青色申告は発生主義が原則で、入金日ではなく取引が確定した日で計上します。12月末に「売掛金/売上高」で計上し、翌1月の入金時に「普通預金/売掛金」で消し込みます。
年内に前払いで受け取った来年分の売上は今年の収益になりますか?
なりません。まだ商品を引き渡していない・役務を提供していない前受けは「前受金」(負債)として処理し、実際に提供した時点で売上に振り替えます。入金があっても、提供が済んでいなければ今年の売上には含めません。
12月に使ったのに請求・支払が翌年の経費はいつ計上しますか?
使った年(12月=前年)の経費として計上します。経費は債務が確定した日で計上する(債務確定基準)ため、支払日が翌年でも、その年に発生した経費は「未払金(未払費用)」で当年に計上し、翌年の支払時に消し込みます。
現金主義で記帳することはできますか?
小規模事業者(前々年分の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下)は、事前に届出書を提出すれば現金主義で記帳できます。ただしこの特例を選ぶと青色申告特別控除は10万円までとなり、65万円控除は受けられません。
売上の計上日は具体的にいつですか?
取引の内容によって異なります。物品の販売は「引き渡した日」、サービス(役務)の提供は「提供が完了した日」、請負は「完成して引き渡した日」が原則です。請求書を発行した日や入金された日ではなく、取引が実際に完了した日で判断します。
関連記事
あおい
ひとり青色 開発者
法務関係の仕事をしながら副業を始め、確定申告が必要になったことをきっかけに青色申告ソフトを自作。月額制ソフトの年間コストに疑問を持ち、買い切り型の「ひとり青色」を開発・公開。