源泉徴収の仕訳【2026年版】
支払う側と受け取る側の記帳方法
源泉徴収の仕訳は、あなたが「報酬を支払って源泉徴収する側」か「報酬を受け取って源泉徴収される側」かで処理がまったく違います。このページでは両方のパターンを、デザイン料・原稿料などの具体的な仕訳例つきで整理しました。「預り金」と「事業主貸」の使い分けがこの記事で分かります。
30秒でわかる仕組み
源泉徴収とは、報酬を支払う側が、受け取る側の所得税をあらかじめ天引きして、本人の代わりに国に納める制度です。天引きされたお金は、 支払う側では「預り金」(あとで国に納める負債)、 受け取る側では「事業主貸」(自分の所得税の前払い)として記帳します。この2つの科目がポイントです。
【支払う側】源泉徴収して納付するときの仕訳
フリーランスのデザイナーやライターなどに報酬を支払い、源泉徴収する場合の仕訳です。ここでは デザイン料 100,000円(税抜)+消費税10,000円、源泉徴収額10,210円を例にします。
① 報酬を支払い、源泉所得税を天引きする
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注工賃 | 110,000 | 普通預金 | 99,790 |
| 預り金 | 10,210 |
報酬総額110,000円のうち、源泉10,210円を天引きし、差額99,790円を振込。天引き分は「預り金」で預かる。
② 天引きした源泉所得税を国に納付する(原則:翌月10日まで)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 預り金 | 10,210 | 普通預金 | 10,210 |
預かっていた「預り金」を取り崩して納付。これで預り金の残高はゼロに戻る。
【受け取る側】源泉徴収された報酬を受け取ったときの仕訳
フリーランス・個人事業主が、源泉徴収された報酬を受け取る場合の仕訳です。ポイントは売上は源泉徴収される前の総額で計上し、天引きされた税額を「事業主貸」で処理すること。同じく 報酬110,000円(税込)から源泉10,210円が引かれ、99,790円が入金された例です。
① 請求時(売掛金の計上・総額で計上)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 110,000 | 売上高 | 110,000 |
源泉徴収される前の総額(110,000円)で売上計上するのがポイント。
② 入金時(源泉徴収分を差し引かれて入金)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 99,790 | 売掛金 | 110,000 |
| 事業主貸 | 10,210 |
入金額99,790円と、天引きされた源泉10,210円(事業主貸)で、売掛金110,000円を消し込む。
源泉徴収税額の計算(10.21%)
報酬・料金の源泉徴収税額は、次のように計算します(復興特別所得税を含む税率)。
| 報酬額(1回の支払い) | 源泉徴収税額の計算 |
|---|---|
| 100万円以下の部分 | 報酬額 × 10.21% |
| 100万円を超える部分 | 超過額 × 20.42% + 102,100円 |
消費税は、請求書で報酬額と消費税額が明確に区分されていれば税抜額を対象に計算できます(区分がなければ税込額が対象)。金額を入れるだけで計算するなら 源泉徴収税額 計算ツールが便利です。
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よくある質問
源泉徴収された報酬の売上はいくらで計上しますか?
源泉徴収される前の総額(請求額)で売上計上します。天引きされた源泉所得税は売上の値引きではなく、あなた自身の所得税の前払いだからです。個人事業主の場合、天引きされた税額は「事業主貸」で処理し、確定申告で精算(多くの場合は還付)します。
源泉徴収された分はどの勘定科目で処理しますか?
受け取る側(個人事業主)は、天引きされた源泉所得税を「事業主貸」で処理します。事業の経費ではなく事業主個人の所得税の前払いにあたるためです。支払う側は、天引きして預かった税金を「預り金」(負債)で処理し、納付時に取り崩します。
源泉徴収した税金はいつ納付しますか?
原則として、源泉徴収した月の翌月10日までに納付します。給与の支給人員が常時10人未満の事業者は「源泉所得税の納期の特例」を申請すると、年2回(1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日)にまとめて納付できます。
源泉徴収は消費税込みと税抜きのどちらで計算しますか?
原則は消費税込みの金額が対象ですが、請求書で報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、税抜きの報酬額を対象に計算してかまいません。税抜きで計算したほうが源泉徴収額は少なくなります。
個人事業主も源泉徴収して納付する義務がありますか?
従業員を雇っておらず一人で事業を行っている個人事業主は、原則として外注先への報酬について源泉徴収する義務はありません。従業員や青色事業専従者に給与を支払っている個人事業主、および法人は「源泉徴収義務者」となり、対象の報酬・給与から源泉徴収して納付する必要があります。
法人への支払いも源泉徴収が必要ですか?
報酬・料金の源泉徴収の対象は、原則として個人(フリーランス等)への支払いです。法人へ支払う報酬は、一部の例外を除き、原則として源泉徴収の対象外です。
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あおい
ひとり青色 開発者
法務関係の仕事をしながら副業を始め、確定申告が必要になったことをきっかけに青色申告ソフトを自作。月額制ソフトの年間コストに疑問を持ち、買い切り型の「ひとり青色」を開発・公開。