国民年金の免除・納付猶予とは【個人事業主向け】
所得基準・デメリット・申請方法【2026年度版】
国民年金保険料は2026年度(令和8年度)で月額17,920円・年間215,040円。収入が減った年の個人事業主・フリーランスには重い負担です。前年所得が基準以下なら保険料の免除・納付猶予を受けられます。審査サイクルは毎年7月〜翌年6月なので、7月は新年度分の申請タイミングです。
この記事のポイント
- ①免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4段階+50歳未満向けの納付猶予
- ②判定は前年所得。個人事業主は「売上−経費−青色申告特別控除」の後の金額で審査される
- ③免除期間も受給資格期間に算入される(未納とはまったく違う)
- ④余裕ができたら10年以内の追納で年金額を回復できる
免除・納付猶予の種類
| 制度 | 2026年度の納付額 | 対象 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 0円 | 前年所得が基準以下 |
| 4分の3免除 | 月4,480円 | 同上(基準額は段階別) |
| 半額免除 | 月8,960円 | 同上 |
| 4分の1免除 | 月13,440円 | 同上 |
| 納付猶予 | 0円(後払い) | 20歳以上50歳未満 |
※ 2026年度(令和8年度)の月額保険料17,920円で計算。
このほか、障害基礎年金の受給者などが対象の法定免除(届出のみで全額免除)、出産前後の4か月が免除される産前産後免除(年金額は満額に反映される別制度)があります。
所得基準——個人事業主は「控除後の所得」で判定される
| 区分 | 前年所得の基準 | 単身者の目安 |
|---|---|---|
| 全額免除・納付猶予 | (扶養親族等の数+1)×35万円+32万円 | 67万円以下 |
| 4分の3免除 | 88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | 88万円+控除額 |
| 半額免除 | 128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | 128万円+控除額 |
| 4分の1免除 | 168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等 | 168万円+控除額 |
※ 免除(全額〜4分の1)は本人・世帯主・配偶者の全員が基準を満たす必要があります。納付猶予は本人・配偶者のみで審査されます。
ここで重要なのは、個人事業主の「所得」は売上ではなく、売上から経費を引き、さらに青色申告特別控除を引いた後の金額で判定されるという点です。
計算例:単身のフリーランス
売上180万円 − 経費50万円 − 青色申告特別控除65万円 = 所得65万円 → 基準の67万円以下なので全額免除の対象。
白色申告(控除なし)だと所得130万円となり、全額免除は受けられません。経費の記帳漏れがないか、青色申告特別控除を使えているかで、免除の可否が変わります。
申請サイクルは「7月〜翌年6月」——今が申請タイミング
審査の単位は7月〜翌年6月
前年所得(1〜12月分)をもとに、7月から翌年6月までの保険料が審査されます。毎年7月に新しいサイクルの申請受付が始まります。
さかのぼって申請できる
申請時点から2年1か月前の月分までさかのぼって申請できます。「去年払えなかった」期間も未納のまま放置せず申請しましょう。
2年目からは「継続申請」も可能
全額免除・納付猶予が承認された人が継続を希望すると、翌年度以降は自動で審査されます(一部免除は毎年申請が必要)。
デメリット——将来の年金額はどれくらい減る?
免除期間は保険料を全額納めた場合と比べて、老齢基礎年金が次の割合で計算されます(2009年4月以降の期間)。
| 区分 | 年金額への反映 | 受給資格期間 |
|---|---|---|
| 全額免除 | 2分の1 | 算入される |
| 4分の3免除 | 8分の5 | 算入される |
| 半額免除 | 4分の3 | 算入される |
| 4分の1免除 | 8分の7 | 算入される |
| 納付猶予 | 反映されない | 算入される |
| 未納(申請なし) | 反映されない | 算入されない |
減った分は10年以内の追納で取り戻せます(3年度目以降は経過期間に応じた加算額つき)。追納した保険料は納めた年の社会保険料控除になるため、収入が回復した年に追納すると節税にもなります。
個人事業主が知っておきたい注意点
① 免除・納付猶予中はiDeCo・付加年金・国民年金基金に入れない
国民年金保険料の免除・納付猶予を受けている間は、原則としてiDeCoの掛金を拠出できず、付加年金・国民年金基金にも加入できません。小規模企業共済は年金制度と無関係なので加入・継続できます。
② 社会保険料控除は「実際に納めた分」だけ
免除された保険料は確定申告の社会保険料控除に計上できません。半額免除で月8,960円を納めた場合は、その納付額のみが控除対象です。
③ 廃業・失業したときは「特例免除」が使える
失業・廃業の場合、本人の前年所得を除外して審査されるため、前年に所得があっても免除を受けられます。個人事業主は廃業届の控えなどを添えて申請します。
④ 2026年10月から「育児期間の免除」が始まる
2026年10月より、子どもが1歳になるまでの期間の国民年金保険料が免除される制度が始まります(両親とも対象・年金額は納付済みとして扱われる)。出産前後は既存の産前産後免除と組み合わせられます。
申請方法
申請書を入手する
「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」を市区町村の国民年金窓口・年金事務所で入手、または日本年金機構のサイトからダウンロードします。
窓口・郵送・電子申請のいずれかで提出
市区町村の窓口・年金事務所への持参か郵送のほか、マイナポータルからの電子申請もできます。失業・廃業の特例を使う場合は雇用保険受給資格者証や廃業届の控え等を添付します。
審査結果を待つ(2〜3か月)
承認・却下の通知が届くまで2〜3か月かかります。審査中に届く納付書は、結果が出るまで保留して問題ありません。
よくある質問
個人事業主でも国民年金の免除を受けられますか?
はい。前年所得が基準以下であれば個人事業主・フリーランスも申請できます。単身者なら前年所得67万円以下で全額免除の対象です。「所得」は売上から経費と青色申告特別控除を差し引いた後の金額で判定されます。
国民年金の免除のデメリットは何ですか?
①将来の老齢基礎年金が減る(全額免除期間は2分の1で計算)②免除・納付猶予中は原則iDeCo・付加年金・国民年金基金に加入できない③一部免除は減額後の保険料を納めないと未納扱いになる、の3つです。10年以内なら追納で年金額を回復できます。
免除申請はいつすればいいですか?
審査サイクルは毎年7月〜翌年6月で、7月から新年度分を受け付けます。年度の途中でも申請でき、申請時点から2年1か月前までさかのぼることも可能です。
免除と未納は何が違うのですか?
免除・納付猶予の期間は受給資格期間に算入され、障害基礎年金・遺族基礎年金の保障も維持されます。未納はどちらにもカウントされず、万一のときに年金を受け取れないリスクがあります。払えないときは必ず申請しましょう。
廃業・失業した場合は所得があっても免除されますか?
失業・廃業には特例免除があり、本人の前年所得を除外して審査されます。個人事業主は税務署に提出した廃業届の控えなどを添付して申請します。
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あおい
ひとり青色 開発者
法務関係の仕事をしながら副業を始め、確定申告が必要になったことをきっかけに青色申告ソフトを自作。月額制ソフトの年間コストに疑問を持ち、買い切り型の「ひとり青色」を開発・公開。